目次
アストラムラインの地下走行の経緯
さて、問題の地下走行。始発駅の本通駅から0.3kmがその区間に当たります。すべての駅を高架上に置くことも検討されましたが、本通駅界隈は市の中心部に位置するため、道路の両側に支柱を立てると歩道が狭くなったり、景観に違和感が生じるなどといった理由により一部を地下構造にすることとしました。
本通駅~県庁前駅はすべて地下空間、城北(じょうほく)~白島駅南(はくしまえきみなみ)は地下から地上に移行する区間となっています。すべて地下の区間は法律上、地下鉄と見なされています。
なお、新交通システムを地下式としたのは日本で広島市が初めてです。
アストラムラインの開業
約6年をかけ、アストラムラインは1994(平成6)年8月20日に開業。その2カ月後には「第12回アジア競技大会広島1994」が開催され、メインスタジアムの広島広域公園を訪れる多くの人が利用しました。
「アストラムライン新白島駅」と「JR新白島駅(しんはくしまえき)」の新設
2015(平成27)年3月には「JR新白島駅(しんはくしまえき)」と「アストラムライン新白島駅」をそれぞれ新設。他公共交通との接続を整備することにより、ヒト・モノ・カネ・情報の好循環が生まれるという市の取り組みに基づき、交通結節点工事として位置付けられました。実際、下記図のように新白島駅新設後の利用者は増加しています。
ちなみに、円筒状シェルの高いデザイン性が話題になった駅舎ですが、これは67者が参加した広島市主催のデザインコンペにて選定されました。
輸送人員は開業当初から伸びています。「新白島駅」ができた平成27年度は飛躍的にその数を増やしました。乗降車人員は、「本通駅」「県庁前駅」の通勤利用が多く、「安東駅」は大学への通学利用と考えられます。JRとの乗り換え口としての「新白島駅」も多い乗降車人員数となっています。
アストラムラインは延伸によりJR西広島駅と接続予定!
新白島駅の新設後、広島市は以前から計画されていた延伸(新交通西風新都線(せいふうしんとせん))を決定。これによりアストラムラインは、五月が丘(さつきがおか)団地・石内東(いしうちひがし)地区・己斐(こい)地区を経由し、JR西広島(にしひろしま)駅と接続することになります。令和10年代初頭の全線開業を目指し、環境影響評価を進めています。
延伸(新交通西風新都線)予定図
延伸(新交通西風新都線)は西風新都の都市づくりを一層推進する役目も担います。新交通西風新都線が開通した後には、西広島駅~本通駅を結ぶ「都心線」の検討を予定。環状型ネットワークの形成により新たな交通結節点が生まれ、さらなる好循環をもたらすと考えられます。
アストラムラインの特徴
アストラムラインの特筆すべき特徴として、定時性に優れ、災害に強いことが挙げられます。タイヤ走行のため騒音が少なく、快適な乗り心地になっています。
また、側壁に案内輪を当てて走行するため横風に強く、さらに凍結防止や除雪などの装備もあり、悪天候の影響を受けにくくなっています。今までに計画運休を行ったのは開業してから一度だけというから驚きです。
アストラムラインの進化・新型車両7000系デビュー
2020(令和2)年春には新型車両7000系がデビュー。今までのイメージやカラーを継承しつつ、より軽量で高い耐久性を備え、騒音や振動を抑えた車両です。また、使いやすいシート、ベビーカーや車椅子スペースも整備するなど、安全性と快適性に配慮されています。
『広島のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から広島を分析!
広島県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。広島県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
【見どころー目次より抜粋】
Part.1:地図で読み解く広島の大地
冷泉数はトップクラス!?知られざる広島と温泉の関係
宮島の紅葉谷は人工的に造られたものだった!
断崖絶壁に建立された千光寺と尾道の町並みの秘密 ほか
Part.2:広島を駆ける充実の交通網
歴史に翻弄された路線 幻の「国鉄宇品線」に迫る
JR天神川駅の駅名になっている天神川ってどこにあるの?
廃線となった可部線の復活劇!全国初のその経緯とは? ほか
Part.3:広島で動いた歴史の瞬間
神武天皇も広島に来た?神武東征ゆかりの地を巡る
海上交通網を制するためあえて三角州に広島城を築城
4年間で県名が5回も変更 譜代大名ゆえの苦悩とは? ほか
Part.4:広島で生まれた産業や文化
レモンは瀬戸内海がお好き?広島県のレモン栽培
平清盛が崇敬した嚴島神社の魅力を探る
広島に「○○ちゃん」というお好み焼き店が多いわけ ほか
<コラム>
データで分かる全23市町 人口、観光、農業・漁業
絵図と写真で見る広島の鉄道
絵図で見る広島の城下町
絵図で見る広島の名勝地
絵図で見る安芸の宮島 ほか
『広島のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!