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北陸新幹線に施されたデザインの特徴

北陸新幹線は、デザイン性や快適性に重きを置いて設計されました。

車両デザインは、イタリア人以外で初めてフェラーリをデザインした男としても有名な工業デザイナー・奥山清行氏が監修。北陸の青い空、九谷焼の白、象眼細工などに使われる銅色をイメージした3色が車体に使われています。

インテリアにも和のテイストがぞんぶんにちりばめられており、ファーストクラスにあたる「グランクラス」、グリーン車、普通車で、それぞれに北陸の伝統工芸や歴史的建造物を彷彿とさせるデザインが取り入れられました。
グリーン車で基調となっている青は、金沢にある前田家別邸「成巽閣(せいそんかく)」の「群青の間」がモチーフ。当時高貴な色でありながら入手しにくかった群青を使うことで、落ち着きと気品を感じる空間を演出しました。
また、グランクラスのデッキには、同じく成巽閣の「鮎の廊下」をモチーフにアユの絵が描かれており、輪島塗や武家屋敷の土壁、加賀友禅の加賀五彩などが内装の随所に見られます

石川県における北陸新幹線の強み

観光客のみならず、そこで暮らす人々にも新幹線の恩恵はもたらされました。

金沢市を中心に新幹線通勤・通学が定着し、北日本新聞記事によると、2017年度の定期券利用者は金沢~富山間が730人、金沢~高岡間が160人に上りました。これまで金沢への鉄道通勤・通学が現実的ではなかった富山県黒部市や新潟県糸魚川市から通っている人も増えたといいます。

北陸新幹線は雪に強い!

この背景の1つに、「雪に強い」という北陸新幹線の特性があります。

2018年2月、北陸地方では雪が断続的に降り、福井市では平年のおよそ7倍もの豪雪に見舞われました。金沢駅に発着するJRの在来線は2日間にわたって終日運休。第三セクター鉄道でも、多くの区間で運休が発生しました。このような状況下で、一部区間で徐行や運休があったものの、北陸新幹線は運転を続けていたのです。

これほどまで雪に強い理由は、線路の設計にあります。北陸新幹線の長野~金沢間は全体の約44%をトンネルが占めており、トンネル間の短い地上区間はスノーシェルターと呼ばれる屋根で覆われているため、在来線と比べると、線路に雪が積もる部分が少ないのです。

また、高架線の区間にも工夫が見られます。上越新幹線や東北新幹線でも高架橋内の線路脇に雪を除けて貯めるスペースがありますが、北陸新幹線はこの構造に加え、一部区間では高架橋の側壁に斜めのひさしを設けたり、床面に開口部を設けたりして、雪を線路外へ捨てることができます。これにより、北陸新幹線は大雪に負けず走行することが可能になりました。

石川県における北陸新幹線の今後

金沢開業によって生まれた大きな効果をさらに西へとつなげるべく、大阪までの全線開業が望まれるなか、まずは敦賀開業に向けて工事が進んでいます。これにともない、石川県内にはさらに「小松」、「加賀温泉」の2つの新幹線駅が誕生予定です。

敦賀まで開業すれば、金沢~新大阪間は所要約2時間。首都圏だけでなく、関西・中京圏からの誘客に対する期待が高まっています。

石川県における北陸新幹線の今後

金沢~敦賀間が工事中。最終的には敦賀から大阪までの延伸を目指しています。

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・石川県は天気予報が難しい?能登と加賀の地形と天気
・伊能忠敬を苦しめた外浦・内浦
・珠洲岬はなぜパワースポット?
・霊峰白山と「しらやまさん」
・金沢は街そのものが博物館
・能登の歴史的遺産「千枚田」
・金沢の用水が果たした役割
・坂を上ると世界が変わる?魔性が宿る金沢の坂
・市内に25ヵ所以上の石切り場が存在!小松は日本の宝玉の産地

Part.2 石川を走る交通網のアレコレ

・開業後、石川はどう変わったか?北陸新幹線のココがすごい!
・活発化する海の玄関口、金沢港
・官民共用で発展する小松飛行場
・路面電車「青電車」が消えた理由
・鉄道交通の要「金沢駅」の誕生秘話
・粟崎へ人々を運んだ浅野川電鉄
・石川の伝統工芸が随所にあしらわれた、能登を走る2つの観光列車
・石川県唯一の私鉄、北陸鉄道の歴史をふりかえる

Part.3 石川の歴史を深読み!

・実は3代利常が名君だった!
・前田家の運命を決めた末森城
・利家の妻が有名なのはなぜ?賢妻としてまつが残した功績
・地名の由来はお坊さん?金沢モダンを象徴した香林坊
・縁結びの聖地、恋路海岸に伝わる悲恋伝説
・城郭建築の美を感じる金沢城
・芭蕉や与謝野晶子が愛した加賀四湯
・江戸時代から続く近江町市場
・日本在来馬「能登馬」とは?
・「小京都」と呼ばれたくない!金沢で受け継がれる武家文化
・那谷寺は胎内くぐりの聖地だった
・平家の末裔と2つの時国家
・倶利伽羅峠と安宅関で辿る義経の悲劇
・有名古墳&遺跡はココに注目

…etc.

Part.4 石川で育まれた文化や産業

・六の数字に込められた意味とは?日本三名園「兼六園」は理想の庭
・人間国宝の数が日本一!石川県に息づく伝統工芸の土壌
・古九谷に込めた前田家の対抗心
・あの国宝は実は下絵だった!? 等伯の最高傑作『松林図屏風』
・三文豪が愛した犀川と浅野川
・大伴家持の能登巡行と万葉集
・偉人を輩出した第四高等学校
・祭りのない金沢、祭り天国能登
・和倉温泉と日本一の宿「加賀屋」
・県民の寿司愛と豊富な海の幸
・北前船で発展した大野醤油

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