目次
【秋田の古代の歴史②】さまざまな形状の土器が作られた縄文時代
縄文時代には秋田県域でも土器がつくられました。土器は製作年代や地域によって形状に差異があり、県北の米代川(よねしろがわ)水系には円筒土器が多く、県南の雄物川(おものがわ)水系では大木式(だいぎしき)土器が多くなっています。この頃の秋田県域は、異なる文化圏が交わる場所だったようです。
なお、県内の縄文遺跡のうち、大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)(鹿角(かづの)市)と伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡(北秋田市)は「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一部として、ユネスコの世界遺産に登録されました。
【秋田の古代の歴史③】水稲耕作を行っていた可能性が高い弥生時代
やがて3000年前頃になると、西日本から日本海沿岸を伝って稲作と弥生文化が県域にも伝播してきます。
秋田県域では弥生遺跡の発見例は限られていましたが、1996(平成8)年に星宮(ほしのみや)遺跡(大仙市)から水田跡が発見されたことにより、県域でも稲作が行われていた可能性が高くなりました(星宮遺跡の水田跡は平安時代のものという説もあります)。
【秋田の古代の歴史④】朝廷権力が蝦夷を防ぐ柵を築いた律令国家時代
7世紀以降、畿内(きない)を中心に中央集権的な律令国家が成立すると、秋田県域には出羽(でわ)国が設置されました。この頃、国家に服属しない人々は「蝦夷」と呼ばれ、次第に中央府は蝦夷の領域へと侵攻していくようになります。
秋田県域には朝廷勢力によって柵が築かれ、蝦夷侵攻の前線拠点となります。ですが、これに対して蝦夷は抵抗し、各地で反乱を起こします。878(元慶2)年には元慶(がんぎょう)の乱、939(天慶2)年には天慶(てんぎょう)の乱が起き、秋田城が襲われるのでした。
【秋田の古代の歴史⑤】戦乱が続いた平安時代後期
平安時代後期には横手市付近を本拠とする清原氏が台頭し、陸奥北部を支配していた安倍氏を攻め滅ぼします(前九年合戦)。
清原氏は鎮守府(ちんじゅふ)将軍に任じられ、広大な支配領域を有しましたが、家督相続を巡る内紛(後三年合戦)が勃発。周辺を巻き込む激しい闘争の結果、清原氏は滅亡し、かわって奥州藤原氏が出羽国を支配するようになります。
【秋田の古代の歴史⑥】権力争いに巻き込まれていった鎌倉時代
奥州藤原氏は平泉(岩手県西磐井(にしいわい)郡)を拠点に栄華を極めましたが、鎌倉(神奈川県鎌倉市)に武家政権を樹立した源頼朝と対立してしまいます。その結果、源頼朝は奥州藤原氏を攻め滅ぼし(奥州合戦)、藤原氏の旧領には関東の御家人が入部してきます。
大規模な権力闘争に巻き込まれながら、秋田県域は古代から中世へと移行していくのでした。
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・秋田県の地形総論
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・ブナ林が発達し海成段丘が縁取る 起伏が激しい白神山地の形成史
・美しき田園・象潟の九十九島は鳥海山の山体崩壊でできた
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Part.2 秋田を駆ける充実の交通網
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・小坂鉱山の鉱石輸送のため開業 旅客輸送も担った幻の小坂鉄道/昭和40年代に消えたローカル私鉄 羽後交通の雄勝線・横荘線とは?
Part.3 秋田の歴史を深読み!
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・大型住居跡やストーン・サークルなど秋田県の縄文遺跡がおもしろい!
・出羽柵が遷置・整備されて秋田城と呼ばれるようになった
・奥羽を支配した出羽の豪族・清原氏が後三年の役により滅亡
・秋田の中世史総論
・八郎潟東岸を拠点とする大河兼任が鎌倉幕府に対して反乱を起こす
・秋田の近世史総論
・佐竹氏の入部以降、鉱山開発が進み鉱業が秋田藩の財政を支えた
・古来より栄えていた舟運に加え街道が整備され交易が盛んに!
・近現代史総論/奥羽越列藩同盟を離脱し新政府側へ 秋田藩の戊辰戦争と戦後のゆくえ
・日本最後の空襲となった土崎空襲 どうして土崎港が狙われたのか?
Part.4 秋田で育まれた産業や文化
・全国屈指の産油量だった秋田県がシェールオイルの開発・商業生産へ
・秋田港、船川港、能代港 三つの重要港湾が海上輸送網の拠点
・国内有数の米どころ・秋田県は農業産出額の5割以上を米が占める
・かつては国内2位の広さを誇る湖!? 八郎潟の干拓と大潟村の歴史
・古来より建材や工芸品に用いられた秋田杉の活用と保存の取り組み
・日本のロケット発祥の地は秋田県の道川海岸だった!
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