武田神社の歴史
武田神社は「躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)」の跡地に創建されています。1938(昭和13)年に国の史跡に指定されたこの館は、戦国時代に築かれた武田氏の本拠地で、居館と家臣団屋敷地や城下町が一体となっています。
三方を山に囲まれた相川扇状地の開口部に位置し、背後には要害城を配置した構造で、甲斐統一を進めていた信玄の父・武田信虎が1519(永正16)年に構築を始め、有力家臣らを府中に住まわせました。躑躅ヶ崎館には武田信虎をはじめ、信玄、息子の武田勝頼の3代が60年以上居住し、後に広域城下町としての甲府や、近代以降の甲府市の原型となりました。
武田神社の現在
武田神社の境内には当時をしのばせる堀や石垣、土塁などが残り、御神水が湧き出でる「姫の井戸」や金運を招くと伝わる「三葉の松」などがあります。宝物殿には国指定重要文化財の太刀銘「一」をはじめ、武田氏ゆかりの鎧・甲冑・刀剣などが展示されており、武田氏一族の繁栄を今に伝えています。

「姫の井戸」は、信玄の娘が産湯に使用した井戸との言い伝えが残ります。井戸より発見された茶釜などの品々が宝物殿に展示されています。
パワースポットとしても知られている武田神社のご利益といえば、やはり「強力な勝運」です。勝負事へのご利益はもちろん、人生そのものや自分自身に勝つ、そして商業や経済・政治で勝つというご利益など、幅広い運をもたらす神として崇敬されています。
武田神社で開催される「信玄公祭り」
また、毎年4月には、山梨県を代表する祭りのひとつ「信玄公祭り」が開催されています。
武田神社の例大祭に合わせて開催されるこの祭りは、信玄と上杉謙信が激突した川中島の合戦の様子を忠実に再現したもので、戦に挑む前に執り行われる「戦勝祈願」では信玄と本陣隊、山本勘助と勘助隊が武田神社に詣で、甲州軍団の戦勝と祭の成功を祈願します。
武田神社
- 住所
- 山梨県甲府市古府中町2611
- 交通
- JR甲府駅から山梨交通武田神社行きバスで8分、終点下車すぐ
- 料金
- 宝物殿=大人(高校生以上)300円、小人(小・中学生)150円/(障がい者手帳持参で宝物殿拝観料半額)
武田信玄の父・信虎と息子・勝頼
武田信玄は言うまでもなく戦国時代きっての名将ですが、その父と息子もまた戦国時代に名を馳せた人物です。
父・武田信虎には暴君のイメージがありますが、有力土豪層が割拠して乱国となっていた甲斐を統一し、甲府の城下町を開創するなど画期的な政策を推し進め、戦国大名・武田氏の基盤を築いた人物として、最近では高い評価が与えられています。
息子の武田勝頼は偉大な父・信玄の活躍の影に隠れがちですが、国主となった直後は信玄でさえ攻略できなかった高天神城を陥落させるなどして活躍しました。
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Part.1 地図で読み解く山梨の大地
・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」
…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網
・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号
…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間
・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”
…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。
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