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陸羽西線の歴史

陸羽西線は当初、私鉄の酒田鉄道として計画されますが、実際は明治末期から国が酒田線として建設を開始しました。内陸の新庄と日本海側の港町である酒田を結ぶ目的で、まず、1913(大正2)年に新庄〜古口(ふるくち)間が開業。翌年6月に清川駅、8月に狩川(かりかわ)駅に延伸し、9月に余目駅まで全通しました。

1917(大正6)年、陸羽東線の開業にともない、酒田線は陸羽西線に改称されますが、東線と西線は当初、新庄線と総称されていました。また、一時は現在の羽越本線の一部である鼠ケ関(ねずがせき)〜羽後岩谷(うごいわや)間を陸羽西線に編入していましたが、1924(大正13)年4月に陸羽西線は新庄〜余目間としました。

陸羽西線の路線

内陸の新庄盆地(新庄駅)を出た陸羽西線は、道中、最上峡をはじめとした最上川の絶景を車窓に見て走る。やがて庄内平野の入り口を経て、余目駅(庄内町)へと至ります。そして約半数の列車が、羽越本線の酒田駅まで乗り入れています。

陸羽西線の路線

陸羽西線の眺望車「キハ110系」で楽しむ最上峡

新庄駅を出発し、やがて新庄盆地を抜けた列車は津谷(つや)駅付近から最上川に寄り添い、古口駅をすぎると車窓に最上川が現れます。車窓のハイライトは渓谷の最上峡(もがみきょう)で、紅葉シーズンは、乗客が鑑賞できるよう列車のスピードを落とします。最上川は清川駅付近まで車窓に続きますが、松尾芭蕉の「五月雨をあつめて早し最上川」の句は、芭蕉が津谷(つや)から清川にかけて最上川を舟で下った際に詠んだものです。なお列車は、やがて最上川から離れ、庄内平野の水田地帯を走り、鳥海山を遠望しながら余目に至ります。

陸羽西線の車窓を存分に楽しめる列車が、キハ110系「眺望車」です。陸羽西線に配置されたキハ110系気動車のうち、3両は1人掛けのクロスシートが窓に向けて45度回転し、車窓を楽しめるよう改造してあります。ほかのキハ110系を含め車体は陸羽西線のオリジナル塗装で、「雪景色」の白をベースに、「豊かな自然」の緑、「最上川のもたらす豊かな恵み」の黄色で配色されてきれいです。

陸羽西線で活躍するキハ110系

ところで、キハ110系や同系列のキハ100系気動車は、JR東日本のローカル線ではおなじみの車両です。老朽化した国鉄時代の車両と置き換えるため1990(平成2)年にデビューした気動車で、車内設備や走行性能を向上させるフルモデルチェンジを行った画期的な車両です。

キハ100系は車体の長さが16m級、キハ110系は20m級で、車内はクロスシートとロングシートを配したセミクロスシートが基本ですが、キハ110系の200番代は急行用として背面テーブルがついたリクライニングシートが設けられたデラックスな車両となっています。いずれも軽快でフレッシュな車両で、ローカル線のイメージ一新に貢献してきました。陸羽西線は、普通列車と新庄〜酒田間に運転される快速「最上川」が走りますが、すべてキハ110系気動車が使用され活躍を続けています。

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Part.1 地図で読み解く山形の大地

・出羽富士・鳥海山の成り立ちと火山がもたらす湧水や地形
・山形盆地の成り立ちと扇状地に発展した県都・山形市
・大江町の最上川川床で発見!ヤマガタダイカイギュウって何だ!?
・河川がつくった肥沃な庄内平野を35㎞におよぶ庄内砂丘が守る
・最上川・五百川峡谷の誕生と流域に形成された河岸段丘
・どうやって誕生し段丘が発達?山形唯一の有人離島「飛島」の謎
・冬の名物・美しい樹氷はどうして蔵王山に形成されるのか?

…などなど山形のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山形を駆け抜ける鉄道網

・急勾配と豪雪を克服し新庄へ至る全国初のミニ新幹線・山形新幹線
・急峻な板谷峠で奥羽山脈越え!逞しき幹線・奥羽本線の今昔
・九州~北海道の貨物車両が走り日本海縦貫線をなす羽越本線
・日本初の交流電化路線にして今や貨物の重要路線の仙山線
・最上川の絶景峡谷を走る!新庄と余目を結ぶ陸羽西線
・三山・高畠・尾花沢の3路線 山形交通の鉄道路線網とは?

…などなど、山形ならではの交通事情を網羅。

Part.3 山形で動いた歴史の瞬間

・木の実でつくったクッキーも!? 山形県域の縄文時代
・和人が蝦夷の領域へと進出! 城柵から見る開拓の歴史
・鎌倉御家人が地頭として進出! 次第に激化する権力争い
・伊達氏との対立を経て統治者に君臨した最上氏の栄枯盛衰
・街道と航路が整備され 発展する沿道の産業と商業
・領主交代に領民が抵抗! 天保の国替え反対一揆とは?
・異名は鬼県令!? 初代県令三島通庸が推進した土木工事

…などなど、激動の山形の歴史に興味を惹きつける。

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