目次
三沢飛行場は軍用航空基地として建設される
三沢飛行場は北方からの外国の動きに備えるために旧日本海軍の航空基地として1939(昭和14)年頃から建設が始まり、1942(昭和17)年に開設されました。終戦を迎えると、三沢飛行場は米軍に引き渡され、1946(昭和21)年7月から約2年間本格的な基地建設が行われました。
三沢飛行場で戦後初めて民間航空機が就航
アメリカによる非軍事化の原則が撤廃され、禁止されていた民間航空の復活が実現すると、1951(昭和26)年10月25日に国内で戦後初めて民間航空機が東京~大阪~福岡間に就航します。同年11月1日には東京~札幌間でも運航を開始し、翌年1月11日からは東京と札幌を結ぶ路線が三沢飛行場に寄港することになりました。三沢から東京までの飛行時間は2時間10分で、青森~東京間を走る急行列車の14時間と比較するとまさに天と地ほどの差がありました。
完全なる民間管理の空港「青森空港」が開港
1954(昭和29)年7月に自衛隊が発足すると10月には三沢にも航空自衛隊が配備され、2年後には返還された八戸飛行場が海上自衛隊の航空基地として整備されました。三沢・八戸と2つの飛行場を有していた青森県でしたが、三沢は米軍が管理し、八戸は自衛隊の基地という状況にありました。
そこで1960(昭和35)年頃から民間用の空港建設の声が高まり、1964(昭和39)年11月5日に青森空港が開港しました。翌年の6月からは定期便が青森~東京間に就航。その後札幌や大阪にも就航し、1987(昭和62)年にはジェット機が離発着可能な新たな青森空港が完成しました。
三沢飛行場は民間機使用が中止されるも再び再開し都市部とつながる
いっぽう、三沢飛行場では1965(昭和40)年に民間航空の利用が中止に追い込まれてしまいます。民間機の離発着は八戸飛行場で行われるようになりますが、旅客数の増大や航空機の大型化により三沢飛行場の利用再開を押す声が高まりました。そこで日米合同委員会で協議が行われ、1975(昭和50)年5月から民間航空の運航は八戸から再び三沢で行われるようになり、東京〜三沢・三沢〜札幌(千歳)線が開設されました。
1980(昭和55)年には東京〜三沢間が1日4便に増便。大阪(伊丹)をはじめ大阪(関西)・函館・札幌(丘珠)などに新たな路線が開設されましたが、2002(平成14)年に盛岡〜八戸間が延伸開通した東北新幹線などの影響により減便や休止などを経て現在に至ります。
三沢飛行場ができる以前に三沢から飛び立ったミス・ビードル号
三沢に飛行場ができる以前に誕生した大記録があります。それがミス・ビードル号の太平洋無着陸横断飛行です。1931(昭和6)年10月4日に現在の三沢市淋代海岸からアメリカ人パイロット2人を乗せたミス・ビードル号が飛び立ち、およそ41時間後にアメリカ合衆国ワシントン州ウェナッチに到着。距離にして約7800kmにも及ぶ大フライトでした。ウェナッチはりんごの産地として有名で、現在も三沢市と交流が続いています。
『青森のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から青森県を分析!
青森県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。秋田の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1 地図で読み解く青森の大地
・津軽・下北半島が陸奥湾を抱き 県央を貫く奥羽山脈が地形を二分
・火山がもたらした絶景や石灰岩 下北半島に刻まれた列島誕生史
・二重カルデラの十和田湖が生んだ奥入瀬渓流の渓谷美
・津軽富士と称される美しい岩木山は荒々しい火山地形を残す活火山
・古いカルデラの上に形成された八甲田山は火山地形の宝庫!
・東に段丘・西に砂丘・南に扇状地 岩木川がつくった津軽平野
・かつて潟湖だった小川原湖と広大な上北平野ができるまで
・地すべりでブナの原生林が誕生 太古の森が残る白神山地の成り立ち
・・・など
Part.2 青森を駆け抜ける鉄道網
・日本鉄道の駅として明治期に開業 北への玄関となった栄光の青森駅
・E5系・H5系「はやぶさ」が走り延伸を続ける東北・北海道新幹線
・車内で津軽三味線の生演奏!?「リゾートしらかみ」がゆく五能線
・函館への海底トンネルを掘削!?大湊線・大畑線・大間線の大計画
・日本初のステンレス車も活躍する東北最大の私鉄 弘南鉄道がすごい
・黄金の東北本線は新幹線で激変 新時代を走り出した青い森鉄道
・冬は石炭炊きのストーブ列車!ローカル私鉄・津軽鉄道の魅力
・レトロなレールバスがみちのくの原風景を走った幻の南部縦貫鉄道
・・・など
Part.3 青森で動いた歴史の瞬間
・マンモスを追ってきた人類が定着 中央に属さない独自の文化が発展
・豊かな自然のもとで生まれ1万年にわたり続いた縄文文化
・稲作を基盤とする弥生文化と北海道で発達した擦文文化が交錯
・和人の律令国家に取り込まれず蝦夷の地として交易で発展する
・奥州藤原氏が源頼朝に滅ぼされ武士たちの激しい抗争の時代へ
・十三湊を制して栄えた安東氏と室町期に台頭した南部氏の争い
・北東北最大勢力の南部氏から独立し弘前藩を築いた津軽氏とは?
・藩境争いに暗殺未遂、戊辰戦争…度重なる津軽と南部の紛争
・戊辰戦争後に紆余曲折を経て青森県が成立し近代化していく
・港町から県都となった青森では町人中心の町づくりが進んでいく
・・・など
Part.4 青森で育まれた産業や文化
・霊媒師イタコが霊場・恐山の象徴的存在となった理由
・諸大名が財を投じて求めた南部駒 青森県の馬産の歴史は古代から!?
・築100年のダムが現役!耐久性の高い青森ヒバ
・岩木山麓の原野を切り拓いて旧藩士たちが始めたリンゴ栽培
・大間のマグロに陸奥湾のホタテ! 青森県で水産物が豊かな理由とは?
・船上に車両を載せて海を渡る! 青森〜函館をつないだ青函連絡船
・セメント工場の設立をきっかけに漁村から工業地帯に変貌した八戸
・米軍・自衛隊・民間が利用する三沢飛行場は旧海軍航空基地だった
・・・など
『青森のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!