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アーカンソー州の政治
アーカンソー州の選挙人の数は、6人です。アーカンソー州は、南部州で共和党の地盤。近年の例外は、地元出身クリントン(民主党)の時のみ。2016年は、妻のヒラリーを選びませんでした。
アーカンソー州は、南北戦争の敗北から立ち上がる州
アーカンソー州の西と北の大自然は、狩猟に釣りにとアウトドアの宝石箱です。アーカンソー州の公式の愛称は確かに的を射ています。けれどそれは1995年以降の話で、以前の愛称は「機会の州」。観光産業を盛り上げるため「自然の州」に変えたのです。
アーカンソー州の懸命な観光開発の大きな理由は、全州のなかで下位のアーカンソー州の平均所得。伸び悩む経済は、南部州が共通して抱える課題でした。
南軍として戦ったアーカンソー州
アーカンソー州が1803年のルイジアナ購入で合衆国入りすると、東部から一定数の開拓民が奴隷を連れて流入しました。彼らは他の南部州同様に、アーカンソー州に奴隷を使った綿花プランテーションを造り、このためにアーカンソー州は南北戦争で奴隷を容認する南軍として戦うことになりました。
1865年の敗北後は元奴隷を小作人として使う農業へ転換しましたが、当初は旧いシステムの延長でしかなく、人種差別は根強く残り、都市化と工業化が遅れて、五大湖周辺のようなめざましい発展はできませんでした。
アーカンソー州の近代経済
変化の兆しは1930年代に入ってからで、大規模機械農業で大豆と米を作るようになったことです。この時同時に大恐慌の影響で農民は減りましたが、第二次世界大戦の防衛産業特需で、農民たちは製造業やサービス業へシフトし、21世紀にかけてアーカンソー州経済を盛り立てていくことになります。
困難な道程のなかアーカンソー州発祥のウォルマートが小売りを牛耳り、ご当地出身のビル・クリントンが2期大統領を務め、この州の名を広く知らしめたのは事実です。
アーカンソー州を知るキーワード
アーカンソー州のキーワード:レイクポート大農園
南北戦争前の綿花プランテーションで儲けた一族の邸宅。アーカンソー州に残る最後のプランテーション邸宅で、博物館になっています。
アーカンソー州のキーワード:エルドラド
黄金郷の意味を持つアーカンソー州のこの町と周辺で石油が発見され、1920年代は全米トップクラスの生産量を誇りました。現在は博物館があります。
アーカンソー州のキーワード:田んぼ
ミシシッピー川流域の水田では、七面鳥が見られます。生産量は全米トップで、米に着目した伝説の農家が、稲作を広めるきっかけを作りました。
アーカンソー州のキーワード:養鶏
アーカンソー州のブロイラー生産はアメリカ2位。鶏と七面鳥を主軸とし、タイソンフーズなどの食品加工会社と連携した2400を超える養鶏場があります。
アーカンソー州のキーワード:ボーキサイト
アルミを精製するための鉱石の採掘と加工が、第二次世界大戦特需の時に富をもたらしました。感謝の念から、町はボーキサイトと名づけられました。
アーカンソー州のキーワード:クリントン大統領
第42代大統領は、中間層の復活と財政赤字解消に取り組み、景気を回復させたと評価が高いです。リトルロックに、立派な記念館が建てられています。
アーカンソー州のキーワード:アメリカ式温泉
アーカンソー州ホットスプリングスは、名前の通り温泉街。バスハウスという浴場で、バスタブやプールの温泉に入ります。裸になるのをためらうアメリカ人多し。
アーカンソー州のキーワード:ベントンビル
小売り最大手ウォルマートの本社がある、企城下町。ウォルマートの拡大とともに、静かな田舎町からモダンな都市へと変貌を遂げました。
アーカンソー州のキーワード:オザーク高原
アーカンソー州北西部を中心とした緑あふれる高原かつ景勝地で、ボブキャットなど野生動物が多数生息しています。この自然の存在が、ディープサウスとの大きな違い。
アーカンソー州のキーワード:ウォシタ山地
北のオザークと並ぶ大自然があり、アーカンソー州にとっての観光資源。ハンターや釣り人に人気があり、オジロジカ狩りやマス釣りが楽しめます。
アーカンソー州のキーワード:ダイヤモンド・クレーター州立公園
世界唯一の公共ダイヤ採掘場。入場料とシャベルレンタル代だけで、採れたダイヤを持ち帰れます。2015年に8.52カラットの逸品が掘り当てられました。
アーカンソー州の著名人
アーカンソー州の著名人:陸軍元帥 ダグラス・マッカーサー
GHQ最高司令官として、日本の占領にあたりました。アメリカでの知名度は高くありません。アーカンソー州にある生誕地のリトルロックには、記念公園があります。(1880~1964)
アーカンソー州の著名人:バスケ名選手 スコッティ・ピッペン
シカゴ・ブルズの黄金時代を築いた立役者で、NBAの神様マイケル・ジョーダンの相棒を務めた男は、アーカンソー州ハンバーグ出身です。(1965~)
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“合衆国”というように50州からなるアメリカは、それぞれが独自の州憲法、政府組織を持ち、強い個性を放つ、いわばモザイク国家。それだけにアメリカの素顔は日本人にはなかなかわかりにくいもの。アメリカを知るには俯瞰的に眺めるのではなくそれぞれの州について知らないと、国の姿が見えてこないのです。本書では、それぞれの歴史や特徴を豊富なイラストとともに紹介。
さらには、日本でも毎回大きく報じられる4年ごとの大統領選挙について、各州のページで選挙人の数と民主党と共和党どちらが優勢であるか(2020年7月時点)を説明し、巻末には、大統領選挙のしくみ解説や歴代大統領のデータなども掲載。大統領選への理解も深まります。
【見どころ―目次より抜粋】
1章 北東部
■各州紹介
■<歴史解説>自由と仕事を求めた移民たちが、多民族国家アメリカを形成していった。
■<歴史解説>アメリカの根底にあるゴーウエスト思考、東海岸から始まった領土拡大の歴史。
■<コラム>4大プロスポーツのチームがない州
2章 南部
■各州紹介
■<歴史解説>南北戦争とリコンストラクション 敗北した南部州は深い傷を負った
■<歴史解説>人種差別を跳ね返した公民権運動 キング牧師の夢が叶う日はいつ
■<コラム>地下鉄道
3章 中西部
■各州紹介
■<歴史解説>アメリカ2大政党、民主党と共和党はいかにして今日の姿になったのか
■<コラム>アメリカの地勢
4章 西部
■各州紹介
■<歴史解説>銃による犯罪、学校や公共施設での銃乱射事件が止まらない。それでも銃規制が進まない理由。
■Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)
巻末資料
■<大統領選挙しくみ解説>民意がストレートに反映される国政、一年かけて国民が自らのリーダーを選ぶ
■歴代大統領
■人口ランキング
■面積ランキング
■銃規制(拳銃の公然携行の可否)/同性婚
■死刑の存続と廃止/消費税率(セールス・タックス)
【監修者】デイビッド・セイン
アメリカ生まれ。証券会社勤務を経て来日。30年以上にわたり翻訳や英語指導に従事、自身が代表を務めるAtoZ 英語学校で教鞭をとるかたわら、英語学習執筆、教材プロデュース、Webコンテンツ制作、動画制作と幅広く英語教育事業に関わる。NHKレギュラー出演ほか、日経・朝日・毎日新聞などにも連載。主な著作に『1日15分18日で英語の達人に 魔法の英語脳トレ』(InteLingo)などがあり、現在まで累計400万部を超える著書を刊行。
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

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