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サンド二大聖堂の歴史

サンド二大聖堂の歴史

歴代王朝は自らの正統性を宗教に求めました。5世紀フランク王国メロヴィング朝の創始者・クローヴィスがキリスト教の正統アタナシウス派に帰依したのが最初ですが、聖ドニの教会をフランス王家が本格的に重視し始めたのは10世紀からのカペー朝とされています。
以来歴代のフランス国王や王族らがここに眠りますが、その前のメロヴィング朝などの国王らも埋葬されました。42人の王、32人の王妃、63人の王子と王女、10人の王国の貴族らです。

しかしこれはフランス革命の志士にとっては王権と封建制の象徴で、憎むべき旧体制(アンシャン・レジーム)に属します。

事実、革命期の1792年に修道院は廃止され、93年革命の代議士バレルは破壊を要請、実際に一部が破壊されました。同年処刑されたルイ16世とマリー・アントワネットは、マドレーヌ墓地の贖罪礼拝堂に他の遺体とともに投げ込まれましたが、ルイ18世が即位後1815年に聖ドニの教会に再び埋葬されました。

マリー・アントワネットが埋葬された贖罪礼拝堂

パリの中心部、ルーブル美術館前のテュイルリー公園とシャンゼリゼ通りの間にあるコンコルド広場はフランス革命中、革命広場と呼ばれていました。1793年、ここに設置されたギロチンでルイ16世とマリー・アントワネットは処刑されます。彼女らはサンドニの大聖堂に再埋葬される前、コンコルド広場から北に約1kmの当時マドレーヌ墓地と呼ばれた場所に埋葬され、現在そこに贖罪礼拝堂(Chapelleexpiatoire)が建っています。

サンド二大聖堂は世界初のゴシック建築

その後帝位に就いたナポレオン1世はここに永眠したいと修復し、以降19世紀を通じたびたび修復されています。現在みられるファサードと後陣(こうじん)(シュヴェ= 教会建築でいう屋根組みの集合体)は12世紀に造られた世界初のゴシック様式です。

天に向かって尖塔がそびえ、天井を支えるヴォールト(穹窿(きゅうりゅう))や側壁に架かる力を逃がすフライング・バットレス( 飛梁(とびばり))といった構造のおかげで側壁が開放され、大きな開口部の設置が可能になりました。そこにはめられたのが、光射す大きなステンドグラスです。フランス王家が我が霊廟と定めた教会サンドニ・バジリカ大聖堂は、神性を表す光を重視する世界初の建築物となったのです。

サンドニ・バジリカ大聖堂の華麗な装飾

サンドニ・バジリカ大聖堂には、ルイ18世により造られたルイ16世とマリー・アントワネット像があります。また、身廊(しんろう)の聖母マリアの礼拝堂には、側にキリストの幼少期、右側にキリストまでの系譜が描かれたステンドグラスがはめ込まれています。西正面の扉上のタンパン(半円状の装飾)には、「最後の審判」が描かれています。

サンドニ・バジリカ大聖堂の華麗な装飾

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【監修者】Julie Blanchin Fujita (ジュリ・ブランシャン・フジタ)

1979年、シャラント県生まれ。2004年にストラスブールの国立美術学校(École supérieure des arts décoratifs de Strasbourg)を卒業。翌年からイラストレーターとして活動。
アマゾンを中心にポリネシア、オーストラリアなどを訪れ、現地の日常生活を描く。2008年に南極圏へ向かう取材の途中で東京に短期滞在し、翌年から日本での生活を始める。
2017年に日本の日常生活を綴った『J’aime le nattō(納豆が好き)』を、フランスの出版社Hikari Éditionsから出版しベストセラーに。子ども用ミニ絵本シリーズ『mon imagier japonais』[動物、もの、食べ物編など]を出版しているほか、2015年からNHK出版の「まいにちフランス語」にイラストの連載もしている。2児の母。

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