多摩丘陵の地形の特徴
多摩丘陵は西の関東山地から続く高尾山麓から多摩川の南、横浜市から三浦半島にかけてと広範囲で、東西約20kmにわたっています。高さは60～200mほどで、西から東へ少しずつ低くなっています。
東京の多摩丘陵について詳しく見てみると、多摩丘陵は地形面の高さから高位の多摩丘陵Ⅰ面（八王子市・御殿峠付近など丘陵西半部）と低位の多摩丘陵Ⅱ面（川崎市多摩区・おし沼付近など丘陵東半部）に分けられます。両者の高さの違いは、多摩丘陵が2段の段丘から成っているからです。多摩丘陵の地形面は、武蔵野・立川段丘面に比べると凹凸が目立ちますが、これは前者の段丘面のできた時代が後者より古いので浸食が進んだためと考えられています。高位の多摩丘陵Ⅰ面の八王子・御殿峠（ごてんとうげ）では、御殿峠礫層、多摩ローム層、武蔵野ローム層で形成され、海抜約183mです。
多摩丘陵の位置
多摩丘陵の南への広がりは、東京、神奈川の丘陵地から三浦 半島にまで達しています。イルカのような形が特徴的です。
多摩丘陵は多摩川を境界線に武蔵野台地と分かれている
丘陵の北側は多摩川によって武蔵野台地と境界になり、南部では多摩川低地に接しています。南側は境川（神奈川）により相模原台地と境界になり、江ノ島、円海山（えんかいざん）（横浜市）、富岡を結ぶ地形で区分され、南西部は高さ約50mの急崖となって東京湾に接しています。
武蔵野地形区分
横浜線、田園都市線、小田急線、京王線に乗ると多摩丘陵の凹凸を実感できます。
多摩丘陵を開発してできた町
多摩丘陵は、東京においては生活の場となっており、東京の人口増加の対策として、丘陵を平坦にして巨大な町が造られました。
その代表が多摩ニュータウンです。ここはスタジオジブリ作品の『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台であり、開発前は多摩丘陵の自然がそのまま残っていましたが、現在その面影はありません。
多摩丘陵の地形を生かした町づくりも
一方、丘陵の地形を生かして住宅地になった例もあります。小田急線の玉川学園駅周辺です。玉川学園駅の町は多摩丘陵の丘と谷を包み込んで広がっています。昭和4（1929）年、学園の創設者は新駅予定地を中心に土地を買収、一部を学園用地にあて、残りを住宅地として開発・分譲しました。
令和の時代になっても、丘陵の地形は残り、丘の上からは谷を挟んだ尾根から尾根の眺望が広がります。丘と谷を結ぶ道は坂や階段になっています。大型マンション計画もありましたが地元住民たちが、丘陵を生かした町を守ることを選択したのです。
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