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日原鍾乳洞は悠久の歴史を刻んで育まれた

鍾乳洞は、雨や地下水が地層の割れ目に沿って流れ込み、二酸化炭素を含んだ水によって石灰岩が溶かされて生まれた洞窟です。鍾乳洞では、天井から落ちる水滴に含まれる炭酸カルシウムが固まることで、さまざまな奇景が生み出されます。

洞内で垂れて氷柱状になったものを「鍾乳石」、雫が垂れて地上に積み重なったものを「石笥(せきじゅん)」、上下が発達してつながったものを「石柱(せきちゅう)」と呼びます。

日原鍾乳洞の鍾乳石は1cm成長するのに約70年、石筍は約130年かかるとされ、大きな石笥は数十万年かけて成長してきたことになります。自然の神秘的な営みを身近に感じられる貴重な観光スポットと言えるでしょう。

日原鍾乳洞の形成:1cm伸びるのに70~130年!

水滴に含まれる炭酸カルシウムが固まることによって成長する、「鍾乳石」や「石筍」は、その場所の地質構造、洞内気象などの条件によって成長スピードが異なります。

一般的に、天井から垂れる「鍾乳石」は、1cm成長するには数十年~100年、床に固まり積もる「石筍」は100~数百年かかるとされます。何百年、何千年という年月をかけて成長した石筍を見ると、日原鍾乳洞の歴史の長さに驚かされることでしょう。

日原鍾乳洞の見どころ

白衣観音(びゃくいかんのん)
並び立つ石筍のなかでも、ひときわ大きい一体。白衣観音を思わせる神々しさが名の由来です。

金剛杖
およそ2.5mもの細長い石筍。3万年以上という気の遠くなる年月を経て成長しました。

死出(しで)の山
鍾乳洞内のもっとも大きな空間が、レインボーカラーでライトアップされて幻想的。ガマ岩、あみだの原なども見られます。

水琴窟(すいきんくつ)
地中に埋めた水を張った瓶に手水鉢の水が滴り落ちることで音を作りだしています。

日原鍾乳洞で見られる地質的特徴

鍾乳石以外にも見どころはたくさんあります。

旧洞内の壁には、何段も残る水平のくぼみが見られますが、これは「ノッチ」と呼ばれ、ここに水流があったことの証。また、特徴的な地質構造である節理(せつり)」や「断層」も随所で見られます。

日原鍾乳洞は古くから信仰の対象でもあった

洞内各所に宗教的な名称がついているのは、ここが江戸時代まで山岳信仰の聖地として栄えた場所であったためです。「一石山大権現(いっせきさんだいごんげん)」と呼ばれ、鍾乳洞そのものを神と崇めて、多くの修験者が訪れたといわれます。

周辺の御岳山や三峰山も古くから山岳信仰の対象となっていることから、日原鍾乳洞の周辺には多くの神社があり、厳かな雰囲気に満ちています。

現在の日原鍾乳洞・奥多摩周辺図

現在の日原鍾乳洞・奥多摩周辺図

東京都多摩西部、いわゆる奥多摩は、その大部分が秩父多摩甲斐国立公園、明治の森高尾国定公園に指定された地域です。奥多摩湖や雲取山をはじめ、鳩ノ巣渓谷や秋川渓谷などのダイナミックな渓谷、鍾乳洞、滝も多く、その豊かな自然が人々に愛されています。

日原鍾乳洞

住所
東京都西多摩郡奥多摩町日原1052
交通
JR青梅線奥多摩駅から西東京バス鍾乳洞行きで35分、終点下車、徒歩5分(土・日曜、祝日は東日原行きで30分、終点下車、徒歩25分)
料金
大人800円、中学生600円、小学生500円(団体割引あり)

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【見どころ】Part.3 東京で動いた歴史の瞬間

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・片田舎の武蔵野は関東随一の大国だった
・文武両道の才人、太田道灌が江戸城を築城
・八王子城の落城と戦国時代の終焉
・江戸幕府開府と家光で完成した大都市
・迫られる外交方針 ! 徳川家光が定めた「鎖国」体制
・江戸を襲った明暦の大火
・江戸を恐怖の底に陥れた安政の大地震
・徳川慶喜の思惑が外れた大政奉還
・中央集権国家の誕生へ ! 東京の誕生と廃藩置県
・大久保利通暗殺、紀尾井坂の変
・江戸本所生まれ、郷土の偉人 勝海舟の波乱の人生を追う
・関東大震災 被害と復興
・“玉砕の島”硫黄島の悲劇
・条件降伏と玉音放送
・東京裁判とスガモプリズン
・敗戦から19年目の東京五輪
・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
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【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化

・吉原遊廓は文化サロンの一面も!?
・大衆文化の頂点に立った江戸歌舞伎
・開国要求への抵抗!「お台場」の由来は幕末にあった
・西洋スタイルの銀座煉瓦街が誕生
・日本初の第一国立銀行は日本橋で誕生した
・一丁倫敦と呼ばれた丸の内 職人が手作業で組み立てた東京タワー
・神田から始まった日本の近代下水道モデル
・都営白鬚東アパートは巨大防火壁だった!
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