三河には尾張藩と対照的な小規模藩が分立
いっぽう三河は、譜代大名や旗本領、寺社領などで分割支配されることになり、小藩が分立する状態が続きました。また、藩主を務める家が頻繁に交代したこともあって、江戸時代を通じて合計19藩52家が存在しました。このうち5万石を超えたのは岡崎・吉田・西尾の3藩のみ。大半は1~2万石ほどの規模でした。
同じ愛知県域であっても、尾張徳川家が一円支配をした尾張と比較すると、対照的な歴史を歩んだといえます。とはいえ、三河は家康生誕の地であることから譜代大名が藩主になることが多く、三河国内で藩主を務めた人物からは、老中や京都所司代など幕府の要職に就く人物が輩出されることになります。
尾張と三河の幕末期
19世紀に入ると、諸藩は財政困難に直面します。これは尾張や三河に限った話ではなく全国的な問題であり、度重なる飢饉や、200年以上続いた徳川幕府の統治システムが機能しなくなってきたことに起因します。
三河田原藩士の渡辺崋山(わたなべかざん)はさまざまな改革案を上奏するも、藩内の反対派により孤立させられ失脚してしまいました(蛮社(ばんしゃ)の獄(ごく))。
こうした窮乏のなか幕末を迎えると、尾張徳川家17代藩主・慶勝(よしかつ)は佐幕から倒幕に転じ、東海地方の政治的立場を主導していくのでした。
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●収録エリア
愛知県全域
【見どころ】 Part.1 地図で読み解く愛知の大地
・山地の三河と低地の尾張、愛知県が東高西低なわけ
・1500万年前の奥三河には富士山級の大火山があった!
・自然の断崖が名城を守る!大地の端に築かれた名古屋城
・西南日本を分断する大断層、中央構造線が奥三河に露出!
・知多半島の南部の地層で産する、美しく多様な深海生物化石群
・県内の死者予測は2.9万人、南海トラフ地震とは何か?
・伊勢湾台風がもたらした高潮ほか大被害のメカニズム
・・などなど愛知のダイナミックな自然のポイントを解説。
【見どころ】Part.2 愛知を駆け抜ける鉄道網
・愛知県の鉄道の始まりに名古屋駅は存在しなかった!?
・世界初のビュフェもあった幻の関西鉄道はどんな路線?
・名鉄名古屋本線はかつて名古屋を境に東西で別の私鉄?
・新幹線に負けない魅力満載!進化を続ける近鉄名阪特急
・国産初の超低床路面電車!リトルダンサーが走る豊橋鉄道
・飯田線には昭和晩年まで東西の名車が集結していた!?
・線路やホーム跡が現存する奥三河の秘境鉄道・田口鉄道
…などなど、意外と知られていない愛知の鉄道トリビアを厳選してご紹介。
【見どころ】Part.3 愛知の歴史を深読み!
・大集落の朝日遺跡が教える縄文から弥生への移り変わり
・東海地方最大の前方後円墳、断夫山古墳が示唆するもの
・須恵器の猿投窯に始まり中世に発展した愛知の窯業
・応仁の乱の発端となった大激戦は尾張と三河の守護職争い!?
・信長が少ない軍勢で挑んだ桶狭間の戦い勝利の裏側
・家康後の岡崎城主・田中吉政が築いた岡崎二十七曲りとは?
・都市ごと清洲から名古屋へ移転した清洲越えがすごい!
・廃藩置県後の県域には12県、愛知県はどのようにして誕生?
・・・などなど、興味深いネタに尽きない愛知の歴史。知れば知るほど愛知の歴史も面白い。
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