目次
名古屋駅の歴史:開業の経緯とは
1886(明治19)年3月、武豊~熱田間が愛知県最初の鉄道として開業。路線名を武豊線とし旅客営業も行うことになり、翌月には清洲まで延伸しましたが、この際も名古屋駅は存在しませんでした。
しかし、名古屋の発展を願う名古屋区長・吉田禄在(よしだろくざい)が駅設置を請願するなど尽力。同年に名護屋(なごや)駅(翌年に名古屋駅に改称)が開業しました。現在の名古屋駅から200mほど南の笹島交差点近くで、周辺は葦が茂る湿地帯や水田地帯でした。
名古屋駅の歴史:東海道幹線(東海道本線)の建設で幹線駅に!
いっぽう、政府は東西を結ぶ幹線鉄道を中山道幹線から東海道経由に変更しました。碓氷峠などで難工事が予想されたことに加え、名古屋の衰退を危惧した吉田禄在が経路変更を政府にはたらきかけたことによります。
そして、東海道幹線(東海道本線)が建設されることになり、武豊線も大半がこれに編入。幹線駅としての名古屋駅が確立しました。
名古屋駅の歴史:急成長と東海道本線の発展
初代・名古屋駅舎は木造平屋建てでお世辞にも立派なものではありませんでしたが、1891(明治24)年10月に濃尾地震が発生し駅舎が倒壊し、翌年には2代目駅舎が建設されました。これも木造平屋建てでしたが、初代駅舎の2倍の広さを誇りました。
この間、名古屋駅は東海道本線の発展によりターミナル駅として重責を担うようになります。 1898(明治31)年には路面電車(名古屋市電)も開業し駅前に乗り入れ、名古屋の玄関駅として急成長しました。
名古屋駅の歴史:超特急「燕」の停車駅に
1930(昭和5)年10月には、東海道本線に東京~神戸間を9時間で結ぶ超特急「燕」が運転を開始。同列車は俊足で知られ、登場時、下りは国府津(こうづ)(神奈川県)~名古屋間、上りは名古屋~沼津(静岡県)間で無停車運転をしていました。
名古屋駅の歴史:目覚ましい発展と東海道新幹線の開業
充実する鉄道網に対し、貧相だった2代目駅舎は、1937(昭和12)年2月に建て替えられました。3代目駅舎は鉄筋コンクリート製で地上5階(一部6階)、地下1階の堂々たるもので、駅も高架化され現在地に移されました。
また、東海道本線も電化区間を延伸。特急、急行など数多い優等列車が走る黄金時代を迎え、1964(昭和39)年10月には東海道新幹線が開業。名古屋駅も目覚ましく発展します。
3代目駅舎は、1993(平成5)年まで使用されたのちに取り壊され、跡地には現在の駅ビル・ JRセントラルタワーズが1999(平成11)年12月に開業。ツインタワーとも呼ばれる2棟の駅ビルは名古屋のランドマークにもなり、名古屋駅は中部地方の一大ターミナルとして輸送拠点の役割を果たしています。
愛知県最初の鉄道路線・武豊線の現在の姿
他方、もっとも歴史のある武豊線は小さな支線になり、今なお明治期の跨線橋(こせんきょう)などを残し、その歴史を世に伝えています。
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【見どころ】 Part.1 地図で読み解く愛知の大地
・山地の三河と低地の尾張、愛知県が東高西低なわけ
・1500万年前の奥三河には富士山級の大火山があった!
・自然の断崖が名城を守る!大地の端に築かれた名古屋城
・西南日本を分断する大断層、中央構造線が奥三河に露出!
・知多半島の南部の地層で産する、美しく多様な深海生物化石群
・県内の死者予測は2.9万人、南海トラフ地震とは何か?
・伊勢湾台風がもたらした高潮ほか大被害のメカニズム
・・などなど愛知のダイナミックな自然のポイントを解説。
【見どころ】Part.2 愛知を駆け抜ける鉄道網
・愛知県の鉄道の始まりに名古屋駅は存在しなかった!?
・世界初のビュフェもあった幻の関西鉄道はどんな路線?
・名鉄名古屋本線はかつて名古屋を境に東西で別の私鉄?
・新幹線に負けない魅力満載!進化を続ける近鉄名阪特急
・国産初の超低床路面電車!リトルダンサーが走る豊橋鉄道
・飯田線には昭和晩年まで東西の名車が集結していた!?
・線路やホーム跡が現存する奥三河の秘境鉄道・田口鉄道
…などなど、意外と知られていない愛知の鉄道トリビアを厳選してご紹介。
【見どころ】Part.3 愛知の歴史を深読み!
・大集落の朝日遺跡が教える縄文から弥生への移り変わり
・東海地方最大の前方後円墳、断夫山古墳が示唆するもの
・須恵器の猿投窯に始まり中世に発展した愛知の窯業
・応仁の乱の発端となった大激戦は尾張と三河の守護職争い!?
・信長が少ない軍勢で挑んだ桶狭間の戦い勝利の裏側
・家康後の岡崎城主・田中吉政が築いた岡崎二十七曲りとは?
・都市ごと清洲から名古屋へ移転した清洲越えがすごい!
・廃藩置県後の県域には12県、愛知県はどのようにして誕生?
・・・などなど、興味深いネタに尽きない愛知の歴史。知れば知るほど愛知の歴史も面白い。
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