筑波山形成の歴史
約2.5億~1.5億年前(中生代三畳紀~ジュラ紀)、一帯は深い海の底で砂や泥が分厚く堆積していました。それが海洋プレートの移動とともに大陸側の海溝へ沈み込んでいく際、堆積物とプレートの一部が剥ぎとられて付加体を形成。そして約8000万〜6000万年前頃(中生代白亜紀後期〜新生代古第三紀暁新世)、この堆積層にマグマが入り込み、マグマ溜まりの下部を構成していたものがゆっくりと冷え固まることで、巨大な斑れい岩の塊や花崗岩がつくられました。
斑れい岩と花崗岩の岩体は、やがて地殻変動とともに大きく隆起し筑波山のもとになります。地表に現れた筑波山のもとは、雨や風にさらされながら次第に侵食されていきました。すると、もろい花崗岩は削られていき、硬い斑れい岩は残って、今の筑波山の形となったのでした。
筑波山周辺の地質
筑波山の北側には花崗岩が広く分布し、良質な石材(御影石)として広く利用されています。また山頂周辺には花崗閃緑岩やトーナル岩が分布し、筑波山の山体上部は硬い斑れい岩からできています。これらの岩石は、太古、地下でマグマがゆっくりと冷え固まってできたものです。
筑波山の恩恵
ちなみに、中腹にある桜川市酒寄地区では古くからフクレミカン(福来みかん)が栽培されています。関東平野内陸部は、温暖な環境を好むミカン栽培にはあまり適しません。しかし筑波山中腹斜面では、「空気は冷やされると重くなり低いところに集まる」性質によりそれが可能なのです。冬の朝、山麓から平野部は冷気の塊にすっぽりと包まれます。他方で中腹の冷気はその場にとどまらず、斜面に沿って麓に流れていきます。その分を補填するために上から空気が下降。下降時に圧縮されて暖気となり山腹を覆う逆転層が形成されるためです。
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・地形・地質総論 茨城県域の地質って?
・東の名峰・筑波山はもともと地下の巨大マグマの塊だった!?
・国内で2番目に大きい湖、霞ヶ浦はどのようにしてできた?
・壁面の岩に海底火山の証!名瀑・袋田の滝が誕生するまで
・平磯海岸の恐竜時代の地層から、アンモナイトや国内初のサメ化石!
・県南部で続々と化石発見! 茨城に生きたナウマンゾウ
・南北に約95m広がる大炭田、常磐炭田を生んだ地層と産業史
…などなど茨城のダイナミックな自然のポイントを解説
【見どころ】Part.2 茨城を駆け抜ける鉄道網・交通網
・特急「はつかり」「ひたち」が走る大幹線・常磐線
・第二常磐線構想で生まれたつくばエクスプレス
・奥久慈清流ラインの異名をもつ魅力あふれる水郡線
・めずらしい非電化通勤路線、関東鉄道常総線・竜ヶ崎線
・鹿島参宮鉄道に始まった、鹿島鉄道鉾田線の在りし日
・水戸~石岡を結ぶ計画も……幻の水戸電気鉄道とは?
・阿見線に加え谷田部線? 常南電気鉄道による幻の計画
…などなど茨城ならではの鉄道事情を網羅
【見どころ】Part.3 茨城で動いた歴史の瞬間
・水に恵まれた茨城に人が定住 権力が生まれる
・地方王権の誕生を示す県内最大の古墳・舟塚山古墳
・石岡に置かれた常陸国府とそれを取り巻く交通路の痕跡
・常陸で成長した武家の二大勢力 常陸平氏と佐竹氏
・源頼朝が佐竹氏・平氏討伐! 鎌倉御家人たちが入国
・長い不遇の時代を経て佐竹氏が常陸の覇者に返り咲く
・水戸で育った尊王攘夷思想 桜田門外の変や天狗党の乱に発展
…などなど、激動の茨城の歴史に興味を惹きつける
【見どころ】Part.4 茨城で育まれた産業や文化
・水戸藩に飲料水を運んだ地下水路・笠原水道
・東洋一の航空基地 霞ヶ浦海軍航空隊が置かれた街・阿見町
・2000万人超が来場した科学博、つくば万博の熱狂と跡地の変身
・鉱山開発と日立製作所の歴史
・原子力とともに歩んだ東海村の半世紀
・陸の孤島だった鹿島が臨海工業地帯になるまで
・野菜産出額日本一の街が茨城に!? 鉾田市で農業が盛んな理由とは
…などなど茨城の発展の歩みをたどる。
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