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線路高架化実現へ大きく動く東海道本線

東海道本線については、1962(昭和37)年3月の「東海道線高架化促進期成同盟会」の結成を皮切りに、市中心地区の高架化を求める動きが本格化しました。市、市議会、商工会議所などが中心となって国や国鉄への要請を続け、1967(昭和42)年1月には、18万人以上の市民の署名を集めるなど、地元では全力を注いで高架化実現に向けた取組を進めました。

線路高架化工事によって改善された浜松市の交通の流れ

こうした熱意が実り、1974(昭和49)年に東海道本線の高架化工事が開始され、1979(昭和54)年10月15日、浜松駅を中心に延長およそ5㎞の高架線が完成しました。1976(昭和51)年には1日あたり244回、合計10時間6分も遮断され、「開かずの踏切」として有名だった平田(なめだ)踏切をはじめとする14か所の踏切が廃止となり、立体交差が29か所新設されたことで、浜松市中心地区の南北交通の流れは大きく改善されました。

線路高架化によって大きく変わった浜松市の鉄道地図

東海道本線の高架化完成に続き、1980(昭和55)年、遠鉄線の高架化工事が始まりました。

かつての遠鉄線は、国鉄浜松駅の東側で、貨車を受け渡すため線路がつながっており、そこに遠州馬込駅が設置されていたため、起点の新浜松駅から一旦東に向かい、遠州馬込駅でスイッチバックして向きを変え北へ向かうルートとなっていました。

そこで、遠鉄線の高架化工事は、スイッチバックが介在する大回りルートを解消し、距離の短い直線ルートに変更することも兼ねた、浜松市中心地区の鉄道地図を大きく書き換える事業となったのです。

浜松市の線路高架化は遠州鉄道線の高架化によって完了

1985(昭和60)年12月1日、新浜松駅から助信(すけのぶ)駅付近まで約2.6㎞の遠鉄線の高架化が完成し、浜松市中心地区を走る鉄道の高架化はひとまず完了しました。高架化前の旧浜松駅の跡地に、大きな正十六角形構造がユニークな、全国最大級の発着本数を誇る浜松駅バスターミナルが開業(1982年)するなど、地平を走っていた鉄道の跡地を生かした基盤整備も進み、浜松市の玄関口周辺の風景は大きく様変わりしました。

浜松市中心地区の鉄道ルート新旧比較

浜松市中心地区の鉄道ルート新旧比較

遠鉄線の1985(昭和60)年の第1期高架化区間には2つの新駅が開業。そのうち遠州病院前駅(現在の遠州病院駅)は、旧遠鉄浜松駅が移転・改称したものです。国鉄浜松駅の東側にあった貨物ヤードの機能は、東海道本線高架化に先立って、西浜松駅(貨物駅、1971年開業)に移されています。

鉄道高架化工事を再び実施した遠州鉄道線

なお、遠鉄線ではその後第2期の高架化工事も行われ、2012(平成24)年11月24日、助信駅以北の約3.3㎞が高架線に切り替わったのです。

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Part.1 地図で読み解く静岡の大地

・富士山が標高日本一、駿河湾が深海日本一になった理由
・南から来た、火山の贈り物、伊豆半島ジオパーク
・交通の難所「大崩海岸」は海底噴火によって作られた!
・「日本三大人工美林」数えられる天竜の杉林は川の氾濫に関係があった?
・磐田市にトンボの楽園があった!
・湖?川?海?浜名湖の正体を探れ!
・世界遺産「三保松原」は江戸時代に「島」から「半島」になった!

などなど静岡のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 静岡を駆け抜ける鉄道網

・静岡県の鉄道の歴史は沼津市内の貨物線から始まった
・かつては「東海道本線」だった由緒正しき(?)御殿場線
・JRと私鉄が一体となって形成する伊豆半島東海岸の鉄道ルート
・意外なエピソードを秘めた東海道本線・静岡鉄道の並行区間
・「政令指定都市・静岡」の市内も走る山岳鉄道、大井川鐵道井川線
・軍事上の要請が背景にある天竜浜名湖鉄道(旧国鉄二俣線)のルート

などなど静岡ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 静岡で動いた歴史の瞬間

・静岡最古の古代人は愛鷹山付近にいた!
・日本考古学の聖地・登呂遺跡
・日本書紀に見る静岡とヤマトタケルの伝説
・源頼朝も流された流刑地伊豆
・下田が開港の舞台になったのはなぜか
・江戸城よりも大きかった駿府城天守台
・日本にたった一つしかない形の城・田中城
・家康の遺体は日光ではなく久能山にある?
・徳川慶喜と渋沢栄一の意外なつながり

などなど、激動の静岡の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 静岡で育まれた産業や文化

・模型の首都!静岡が生まれたワケ
・バイクに楽器。浜松のものづくりは綿花の栽培から
・ボールは友達!サッカー王国しずおか
・富士山麓の湧水が育てた製紙業
・月ではなく富士山に帰ってしまう「かぐや姫」
・仏教界のスーパースター空海が静岡に残した伝説

…などなど静岡の発展の歩みをたどる。

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