目次
レインボーブリッジはどんな構造になっている?
上下2層構造になっており、上に「首都高速11号台場線」、下に一般道「臨港道路」と臨海新交通システム「ゆりかもめ」、そして歩道が通る複合交通施設です。さらには、臨海地域に新しい景観を創出し、人々の憩いの場になることも目標のひとつでした。交通の便利さと景観の美しさの両方を兼ね備えた橋を目指して、架橋計画は進められました。
東日本では初の本格的吊橋であり、全長798m、中央径間570mという巨大な構造。計画段階では吊り橋だけでなく、斜張橋、トラス橋などの橋梁形式も検討されました。しかし、芝浦~台場の橋梁には厳しい工事条件がいくつかあり、選択肢が絞られていきました。
レインボーブリッジ開通までの課題:建設に課せられた条件
まず、東京港を行き交う船舶の航路をまたぐため、支柱となる主塔と主塔の間(中央径間)は570m以上、桁下クリアランスは50m以上が必要となります。
また、羽田空港を離発着する航空機が通過する空間を確保するため、架橋地点では工事中の架設機材を含めて、高さを海面から155m以下に抑えなければなりませんでした。
さらに、両岸は標高が低く、架橋地点の前後は曲線区間という難題もありました。
レインボーブリッジ建設の難題に立ち向かった専門家集団
こうした制約をクリアするため、首都公団は昭和58(1983)年、専門家を集めて「東京港連絡橋の設計施工に関する調査研究委員会」を設け、橋の形状検討を託しました。委員会で検討を重ねた結果、航路部は吊り橋とし、高さを稼ぐために橋の前後に1kmを越えるアプローチ部(連続高架橋)を設けることとしました。
橋のデザインについても議論が重ねられました。主塔の形はもちろん、橋自体の色やライトアップの仕方などの細かい部分まで、多くの案のなかから決められ、未来の東京港に調和する橋を目指したデザインとなりました。
レインボーブリッジは世界初のライトアップ技術
ケーブル部分のイルミネーションが「緑・白・ピンク」の3色に変化する技術は、橋梁の照明としては世界初でした。ランプには長寿命、省電カ、高輝度などの特徴をもつ光源「無電極ランプ」が用いられ、交通の安全を守りながら美しい夜景を作り出しています。
通常は、4~10月の夏パターン(白色)、11~3月の冬パターン(温白色)が決まっていますが、イベント時などは特別な色でのライトアップも行われます。
2020年5月末~6月下旬は東京アラートに連動したライトアップを実施。東京アラート発動時の20~24時は赤色に、発動期間以外の20~24時はレインボーに彩られました。
レインボーブリッジの橋梁形式
着工は、昭和62(1987)年1月。正式な橋梁形式は「3径間2ヒンジ補剛トラス吊橋」と呼ばれ、明石海峡大橋と同じ形式。2つの塔を両側に設置して、並行する2本のメインケーブルを架け渡し、トラス構造の橋桁をハンガーケーブルで吊り下げた構造です。さまざまな制約から工事にも工夫が凝らされ、安全かつ効率的な工法を模索しながら、架橋工事は着実に進められていきました。
レインボーブリッジの愛称は一般公募から選定
「東京の海の玄関にふさわしい真っ白な橋の名づけ親になってください」。こう呼びかけて一般公募され、応募総数2万23通のなかから選ばれた「東京港連絡橋」の愛称が、「レインボーブリッジ」です。開通前の1992年11月に発表され、さまざまな夢が託された虹の架け橋に対し、都民だけでなく、国民の期待も高まっていきました。
レインボーブリッジ開通以来、周辺エリアの魅力度もUP
1993年8月26日、約6年半の工事期間を経て、レインボーブリッジが開通しました。それまでひとつのルートしかなかった都心環状線と湾岸線が南北で結ばれ、箱崎ジャンクション付近の渋滞が緩和されたうえ、東京ベイエリアや羽田空港と都心部との連結もスムーズになりました。また、東京臨海副都心へのルートの選択肢が増え、このエリアへの注目度も一気に高まりました。
東京湾の上に柔らかな曲線を描き、夜には美しくライトアップされる「レインボーブリッジ」は、輝かしい未来の到来を予感させる、まさに「虹の架け橋」でした。
架橋によって交通の便がよくなり、臨海部の開発が加速しました。
『東京のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から東京都を分析!
日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。東京の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
【見どころ】 Part.1 地図で読み解く東京の大地
・「低地」の下町と「台地」の山の手、 2つの地形で成り立つ東京
・多摩川によって作られた? 東京に広がる武蔵野台地
・昭島市はかつて海だった!? アキシマクジラ発見の衝撃
・御神火が生んだ島々、伊豆諸島の誕生と火山の関係
・実は立川市内にはない? 東京の活断層「立川断層」とは?
・玉川兄弟が江戸まで引いた ! 標高差わずか92mの玉川上水
・23区内は坂だらけ? 900以上の名前を持つ坂がある
・凸凹を考えて見てみるとおもしろい! スリバチ状の地形が点在する東京
・渋谷は谷が密集してできた街だった
・千鳥ヶ淵はダムだった !?
・荒川と隅田川に囲まれた低地はなぜできたのか? 海抜ゼロメートル地帯江東デルタ
・“荒ぶる川”荒川の流路付け替え
・地下の大宮殿!? 日原鍾乳洞
・火山活動で誕生した島々の進化の歴史 、小笠原諸島の成り立ち
…etc.
【見どころ】Part.2 東京を駆け抜ける鉄道網・交通網
・海の中を走る鉄道だった!? 日本初の鉄道が新橋~横浜で開通
・馬車鉄道から始まった東京の都市交通機関、60年にわたる路面電車の活躍
・日本の発展を支えた100年。帝都の玄関口、東京駅開業
・関東大震災以降、東京は郊外へと拡がった。田園調布の開発と私鉄の発展
・地下鉄は銀座線から始まった/東京地下迷宮! 幻のホームとは!?
・64年東京五輪のレガシー “夢の超特急”東海道新幹線開通!
・都電荒川線が唯一存続した理由
・新宿駅がビッグターミナルになるまで
・高尾山ケーブルカーは日本一の急勾配!?
・五街道の起点となった日本橋
・勝鬨橋は幻の万博のために作られた
・首都高速の誕生と未来/東京の交通網の未来予想図
…etc.
【見どころ】Part.3 東京で動いた歴史の瞬間
・天之手力雄命と菅原道真公を祀る 古代に創建された湯島天満宮
・片田舎の武蔵野は関東随一の大国だった
・文武両道の才人、太田道灌が江戸城を築城
・八王子城の落城と戦国時代の終焉
・江戸幕府開府と家光で完成した大都市
・迫られる外交方針 ! 徳川家光が定めた「鎖国」体制
・江戸を襲った明暦の大火
・江戸を恐怖の底に陥れた安政の大地震
・徳川慶喜の思惑が外れた大政奉還
・中央集権国家の誕生へ ! 東京の誕生と廃藩置県
・大久保利通暗殺、紀尾井坂の変
・江戸本所生まれ、郷土の偉人 勝海舟の波乱の人生を追う
・関東大震災 被害と復興
・“玉砕の島”硫黄島の悲劇
・条件降伏と玉音放送
・東京裁判とスガモプリズン
・敗戦から19年目の東京五輪
・学生たちは何を求めて闘ったのか? 東大紛争と安田講堂事件
・三島由紀夫、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決
…etc.
【見どころ】Part.4 東京で生まれた産業・文化
・吉原遊廓は文化サロンの一面も!?
・大衆文化の頂点に立った江戸歌舞伎
・開国要求への抵抗!「お台場」の由来は幕末にあった
・西洋スタイルの銀座煉瓦街が誕生
・日本初の第一国立銀行は日本橋で誕生した
・一丁倫敦と呼ばれた丸の内 職人が手作業で組み立てた東京タワー
・神田から始まった日本の近代下水道モデル
・都営白鬚東アパートは巨大防火壁だった!
…etc.
『東京のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!